<Steve Jobs氏が逝った>
医師の間ではアップル社のMacを愛用している者が多い。Windowsで仕事をするときは、まさに事務的に仕事をこなしているという感覚になるが、Macで仕事をしているとなぜか遊び感覚というか、趣味の延長上のようなリラックス感があり、義務としての仕事もちょっとは楽しく感じるようになるというのは、Windowsに席巻されたMacに対する判官贔屓であろうか。そのような印象をWindows派の知人に話したら、Macに出来てWindowsに出来ないことはない、しかしその逆は山ほどあると言って一つ一つ例を挙げてくれた。話を聞きながら、こいつやっぱりWindows系人間だなとあらためて認識し、こいつとは仕事の上での付き合いは出来てもそこまでだなと意固地になってしまう自分がいた・・・。
Macをはじめ、アップル社の製品にはCEOをつとめたSteve Jobsの強い意向が反映されていることは周知のことである。アップル社の製品に共通するある種のかっこよさと直感的な使用感覚、さらには購入する際のあのわくわく感は、彼の非凡な才能と行動力によりもたらされたものであろう。アップル社を率いたSteve Jobsのアメリカンサクセスストーリーはアップル社の製品を使っているときの感覚に相通じる心地よさを持って、こちらの気持ちを元気にそして前向きさせてくれるものがある。
彼の言葉で自分なりに印象に残っているものは:
“Simplicity is the ultimate sophistication.” “洗練を突き詰めると簡潔になる”
これは、もともとはレオナルドダビンチの言葉だそうだが、Apple IIのポスターで大きな赤いリンゴの上に冠されたこのコピーは、いまだに強い印象で脳裏に焼き付いている。自分でも決断で悩む際はこの言葉を思い出すようにしているのだが、結果はどうもSteveのようにはいってくれない。 “The only way to be truly satisfied is to do what you believe is great work.” “ (人生で)本当の満足を得る唯一の方法は、自分で素晴らしいと信じられる仕事をすることだ” これは、生死をさまよった後のSteveが2005年にスタンフォード大学で卒業生に向けて行った有名なスピーチからの引用である。そのあとに”素晴らしい仕事を行う唯一の方法は、その仕事を愛することだ”と続くのだが、自分としては”自分が素晴らしいと信じられる仕事をする”ことこそが、”満足できる人生をおくる唯一の方法“であるという、このフレーズに強い共感を覚える。ぶれることのない人生をおくるための座右の銘として、この言葉にはこれまでも大いに助けられてきた。今行っている、あるいは行おうとしていることは自分が素晴らしいと信じられる仕事なのか、これを常に自分の行動基準にしたいと思っている。
ちなみに、”Stay Hungry. Stay Foolish” は体力的理由から40歳後半で・・・卒業した。
多くのSteve Jobsのファンの一人として、ご冥福を心から祈っている。
平成23年11月