息苦しさ
疾患が背景にある “息苦しさ”は動脈血の酸素飽和度が低下して組織が低酸素状態に陥ることが原因で生じる症状です。この動脈血酸素飽和度の低下を来すメカニズムは大別すると、血液の酸素化を担っている呼吸機能に障害がある“呼吸不全”と酸素化された血液を組織まで運搬することを担っている心機能に障害がある“心不全”の二つがあります。長期喫煙者や聴診で呼吸音に異常がありレントゲンで肺野に変化が見られるような場合は呼吸不全を、聴診で心雑音や不整脈がありレントゲンで心拡大がみられる場合は心不全を疑います。心肺機能の障害を背景とした息苦しさは初期においては坂道を歩いたり階段を上ったりといった比較的強めの労作を行った際に以前には感じなかった “息切れ”を自覚するようになります。肺疾患が原因の呼吸不全では年単位でゆっくり症状が悪化するのに対して、心不全の場合は数日レベルで症状が悪化する可能性があります。心肺機能の障害が原因での“息苦しさ”はかなりの重症に至らない限り安静時に息苦しさを感じることはありません。部屋で静かにしているときや就寝時に息苦しく感じる、常に酸素が足りないように感じて深呼吸をしたくなる、しかし運動や楽しいことをやっているときには忘れている、こうした症状は心理的なストレスが背景にある場合がほとんどです。また、運動からしばらく遠ざかっていたり風邪で寝込んだあとで散歩したときなどに感じる脱力感を伴う息切れは筋力低下が主な原因です。