心臓は静脈血の流れる右心と動脈血の流れる左心が一体化しています。それぞれ、心房と心室という二つの部屋から出来ていて、血液は心房にいったん溜まり、次に心室へ移動し、そして動脈へと拍出されます(fig.5)。心房と心室の間と、心室と動脈の間にはそれぞれ一方向弁があります(fig.6)。これらの弁が劣化して変性・癒着すると、十分開口できなくなったり(狭窄症)、閉鎖が不完全で血液が逆流してしまう(閉鎖不全)ようになります、こうした病態を弁膜症と総称します。弁膜症の診断的特徴は異常な弁を通過する血流から生じる心雑音です。
fig.6
閉鎖不全は比較的静かに進行して徐々に心臓の拡大を呈してきますが、狭窄症は突然心不全を発症することがあります。僧帽弁狭窄症では
心房細動を合併しやすく心原性塞栓症(脳塞栓症など)の危険が高い疾患です。また、大動脈弁狭窄症はもっとも危険な弁膜症で、高度となると胸痛や意識消失を来すこともあり、急性左心不全を発症することも稀ではありません。
加齢とともに進む大動脈弁狭窄は高齢者社会となって大きな問題となっていましたが最近になりカテーテルによる非侵襲的な大動脈弁置換術(TAVR)が可能となり治療面で大きな進歩を遂げています。
診断:
聴診(心雑音)、採血(BNP測定)、心臓超音波検査(弁機能の形態的、動態的評価)
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