頻拍性不整脈
心房内から出現する頻拍には、発作性上室性頻拍(fig.12)、心房粗動、心房細動などがあります。いずれも脈が突然異常に速くなるため(140~180/分程度)動悸として自覚される不整脈です。生命に関わるほどの危険性はありませんが、心房細動(fig.13)は慢性化することも稀ではなく、収縮能を失った左房内に血栓ができ、これによる動脈塞栓症を来す危険があります。こうした不整脈はカテーテル的に根治治療が出来る可能性があります(カテーテルアブレーション)。
心室内から出現する心室頻拍(fig. 12)は危険性の高い不整脈で、発作中は血圧が低下して冷汗を伴って気分が悪くなったり、意識を失ってしまうこともあります。心室細動(fig. 13)は発生すると10秒以内で意識を失ってしまいます。心肺蘇生が必要で、数分以内に除細動器(AED)で除細動しないと致命的になる、もっとも恐ろしい不整脈です。急性心筋梗塞や心機能が高度に低下した病態で発生する不整脈ですが、安静時に特徴的な心電図波形を呈し、突発性に発症するものもあります(ブルガダ症候群、QT延長症候群など)。こうした重篤不整脈は薬物治療よりもカテーテルアブレーション、あるいは植え込み除細動器による治療が検討されます。
診断:
安静時心電図、24時間心電図記録(ホルター心電図)、イベントレコーダー、心臓超音波検査(基礎疾患の有無を調べる)、運動負荷検査(エルゴメーター)